はじめに 大径ドリル穴の加工方法について
突然ですが、
なんでもない大きい穴あけ加工をマシニングで行うときって、何を使ってどう加工されてますか?
ワークの材質や深さ、セッティングや機械のトルク、仕様にもよりますが、選べる手段が多いだけにオペレータの考え方によって大きく差がついてしまう加工の一つだと思います。
古の枯れた経験と最新の情報を織り交ぜて、低コスト&最高速度&低負荷&最適精度で仕上げたいものです。
ざっくり考えただけでも、
・ドリルを何本も使ってひたすら広げる
・ドリルで下穴、エンドミルで繰り広げ
・最初からエンドミルで繰り広げ(ヘリカルor突っ込んでコンタリング)
・トレパニングで芯の部分を切り落す
・そもそもガス切りで調達・・・
他にもスローアウェイドリルのプランジ加工で粗く広げたり、ボーリングでバランスカットしてみたり色々あるのが面白いですが、穴あけは本当にいつも迷います。
色々探していると、さらに加工者を悩ませる面白い工具がありました。
ヘリカル穴あけ専用ツール Nine9 NCヘリックスドリル
なんと穴あけ(しかも荒加工のみ)に特化した専用工具で旧式機械勢が歓喜の外部給油でOK
わずか5本でΦ13~Φ50までカバーできるそうです。
型式と対応穴径はコチラ
・99321-010-1320(BC10-HD11-1320)
最小加工径13 最大加工径20
・99321-012-1525(BC12-HD13-1525)
最小加工径15 最大加工径25
・99321-016-2030(BC16-HD17-2030)
最小加工径20 最大加工径30
・99321-020-2540(BC20-HD22-2540)
最小加工径25 最大加工径40
・99321-025-3050(BC25-HD27-3050)
最小加工径30 最大加工径50
1本の守備範囲広すぎ。(実際は3本でカバーしてますよね)
これのせいで相見積もりに負けていたパターンがあるかと思うと、ハイスのドリルで穴を広げていた勢が顔面蒼白です。もちろん筆者も(笑)
んで、早速買ってMill
取付~実加工レビュー
早速取付してみましたが、なかなか独特な形状です。特にチップ
刃先にニックがあります。Z方向にラフィング的な力分散効果を図ってビビリと切削負荷を散らしているのでしょうか。キリコがバラバラになるので外部給油の穴あけ時に起こりがちなホルダーとワークの噛み込みも少なくなりそうです。
考えてみると、確かに合理的な気がします。
そういえば軸方向にニックがついている工具って・・ありましたっけ?
工具はどんどん進化していますね
切削条件を検討して使ってみました。
今回の使用レポート内容はコチラ
使用工具
Nine9 NCヘリックスドリル
BC25-HD27-3050(99321-025-3050)
チップ型番
機種 DMG森精機 DuraVertical635eco(いつもの当て馬です)
主軸テーパ BT40 外部給油仕様
出力 11.5/8.5kW
対象ワーク
SS400 板厚
1stアタック切削条件
回転数
S 1000
送り速度
Φ30加工 80
Φ50加工 200
1回転当たりのZピッチ
Φ30加工 2.4mm
Φ50加工 3.6mm
理論値通りに加工できるとなかなかの切削量です。また計算しておきます(笑)
まずは最小径Φ30を加工している動画です。https://www.youtube.com/embed/cyOR2Hmdhow?feature=oembed
通常のスローアウェイ工具でこの加工を行うと、キリコが続いたりホルダと噛みこんだりで不安要素がいっぱいですが、ヘリックスドリルなら安定感があります。
次に最大径加工(早送りしたり拡大したり見づらいかもしれません)https://www.youtube.com/embed/1lL0tjTlodM?feature=oembed
最小径、最大径共に難なく加工できました。
切削音はザラザラとスローアウェイ工具とラフィングの間のような音でしたが・・・
機械の振動がちょっとスゴイ・・・。
もうちょっと条件を落としてスタメン入りさせようと思います。
キリコがつながってホルダに巻き付く心配がないので、切削条件の上下でトラブルが発生数するリスクは低いハズです。
やはり久保鉄工所が自信をもって宣言できる低トルク機で加工したので、工具のポテンシャルは100%発揮できたとは言いづらいですが、それでも工具本数の低減と加工時間の短縮には大いに貢献できる工具だと思います。
ホルダとチップ価格は穴あけだけと考えれば躊躇するレベルですが、内容に合うワークがあれば元を取れると思います。
詳細をお知りになりたい方はコチラまで連絡をください。
info@kubo-tk.com
荒取りの多い加工ワーク、もしあればご連絡ください。
お待ちしておりますっ!!
それではNCヘリックスドリルを使って、ワークも加工時間もガンガン削っていきましょう!!!